7月12日(火)
コク (酷):
これほどよく聞かれる食べ物・飲み物 に関する言葉で ぐちゃぐちゃ な言葉も珍しいかもしれない。
特に テレビなどで、左手を添えて食べ(昔ははしたないこととされ、教養のある人はやりませんでした。 今は教養のある人が減ったから、このような仕草も人前で許されるのかもしれない)、”こだわり”を連発する、アナウンサー、タレントたちが放つ ”コクがありますね!” という言葉は全く何を意味しているかわからない。
一寸、世間に言われているコク が如何に混乱しているかを書きます。
まず、私は信用していないけど、世間一般によく使われている 広辞苑 では、、、
(本来、中国で穀物の熟したことをあらわしたことから) 酒などの深みのある味わい。となっている、他の字引でも ほぼ同じ表現だから、まあ認めるか、、、、
評論家の中には濃く → 酷 となったといっている人も居るから、水っぽい味ではなさそう、、、、
日本酒では 酷は一種の甘み であるとの説明もあるようだ、、、ここまでは、自分でもそのように理解してきたことと重なり、他の人と会話も成り立ちそう、、、、、
でも ”コクもあってキレもある”というキャッチフレーズで大当たりしたビールにコクがあるとはとても言えない、一度ブラインドで飲んで御覧なさい、、、唯アルコールっぽいだけ、私にはとても認められません。 他のビールがあれば必ず替えます。
コーヒー、ソース、タレ、などにもよく使われるようだが、注意しないと皆違うことを同じ言葉で表現していることがあることは同様、、、
固形物にも 味を表現するのに ”コクがある” と表現することもあるようだが、私はしたくありませんね、他の 味を的確に表現する、 甘味、酸味、塩味、苦味、うま味 を使って 上手く表現できないから、あいまいな コク などという言葉が 氾濫するんでしょう。
ワインの世界では どうでしょうか?
ここでも、いろいろな意味で、コク という言葉が、使われているようです。
先日友人から Clef du Vin (ご存知でしょうか? Peugeotが出している熟成度を増す魔法の棒と呼ばれているもの) は好いよ!と 話を聞いたときに、どう変わるかの表現で コクが 増す と言っていたので、そんなわけないだろうと、思った次第。
というのは以下のことを知っていたからです。
サントリーの定義によると:
『コクとは ワインの 「厚み・ふくらみ」を意味します。
Body(ボディ)という意味でよく表現されます。
ワインの中には水分、アルコール、糖、酸をはじめ微量ながら土壌からのさまざまなミネラル分などが存在します。
その中で、主にアルコール分やエキス分(ワインの中の不揮発性成分で、これが多いほど甘口になります)の含まれる量の割合によって表記が分けられます。 軽いものからコクのある順に、Light-Body(ライトボディ)、Mideum-Body(ミディアムボディ)、Full-Body(フルボディ)と表現しています。』
メルシャンもほぼ同じ コク=ボディ です。
ということで、日本酒とは一寸違います。
ボディと直接関係があるなら、熟成によってボディが変わらないことから別のことを意味していることになる。
この定義が正しければ、ワインの コク は 出来上がったときにもう決まっている、
もっと極端に言えば、土壌とぶどうの種で決まってしまうことになる。
このように、日本酒とワインはコクに対する定義が違う、というか、ワインでは Body を訳すのに”輪郭”とでもすれば混乱しなかったと思うのだが、、、、
友人が私に話すときに、”より熟成度を増す”とでも言ってくれていたら、多分納得か、、
少なくとも私は ワインを表現するのに コク という言葉は使いたくない。
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